医療事業

医療事業で5Gが主に活躍するのは「遠隔医療」です。直接病院へ行くことなく診療ができる「遠隔診療」というものは、5Gを利用しなくても十分可能でした。しかし、患者への直接の医療行為をリモートで行うにはリアルタイム性が重要であり、医療機器の操作情報や細部まで見れる高解像度の映像など大きなデータを扱うので4Gの通信では限界がありました。ここでは5Gが医療でもたらす2つのメリットを紹介します。

医療格差を是正

コロナ禍において特措的なオンラインによる遠隔の診療は可能でしたが、今の技術では対面しないと分からない小さな体の異常に気づけず、どの患者にも似たり寄ったりの診療しかできませんでした。しかし、5Gを用いることで、遠隔地から高解像度のエコーや外傷の映像を確認することができ、心電図などの医療機器で患者の状態をリアルタイムに確認することもできます。近くに大病院がない地域でもある程度の診療ができる医療機器が整った病院があれば、専門医が患者をサポートできる環境が構築できます。今後、このような環境が整えば、離島や小さな島、へき地で今よりも高度な医療が受けられるようになるでしょう。

現在、トレーラーに高度な医療行為ができる機器を積んだモバイルSCOTというものが開発されています。これは、トレーラーに高度な医療行為ができる医師と機材を乗せ、そのトレーラーと病院にいる医師と5G通信でリアルタイムな手術映像を共有することで、病院にいる医師が客観的な視点からアドバイスをし、トレーラー内の医師が正確で安全な医療を様々な場所で提供できるというものです。モバイルSCOTが地方に行くことで医療の地域格差の是正ができると期待されています。

救急の受け入れがスムーズに

時間との勝負である救急医療では、早くて的確な判断が求められます。今の救急医療は救急車と受け入れ病院間は音声による通信のみで、病院側は救急車が到着するまで細かな準備は出来ませんでした。しかし、5Gを利用することで、救急車内にカメラを設置すれば患者の状態を確認することができ、検査機器があれば検査データを早く入手できるので、救急車が到着してすぐに適切な処置を行うことができます。